Toulouse-Lautrec 1864-1901
ディヴァン・ジャポネ
Divan Japonaise(1892)
「ディヴァン・ジャポネ」アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックにより1893年に描かれたリトグラフポスターで、ボストン美術館等に所蔵されている。
ロートレックが主に描いた主題は、モンマルトルのナイトクラブの歌手、ダンサー、パトロンなどが占めるパリの享楽的な裏世界であった。
フランスの貴族の家に生まれたロートレックは、遺伝的要因により脚の成長が止まっていた。長い回復期の間に絵画制作を奨励され、画塾で専門的な絵画修業を許可された。ロートレックは特にドガを賞賛し、彼の独特な遠近法や大胆な社会的リアリズムを模倣した。ロートレックはまた、カラー・リトグラフという新しい媒体をマスターし、鋭い線画デザインが印象的なポスターやイラストなどを制作した。
このポスターは、当時「ディバン・ジャポネ」として知られていたカフェ・コンセール(ショーを見せる飲食店)を宣伝するために制作された。ポスターの中の図像は、ロートレックと同時代のモンマルトルの3人を描いている。前景にいるのはダンサーのジャンヌ・アヴリルであり、彼女の横には作家エドゥアール・デュジャルダンがいる。彼らは歌手イヴェット・ギルベールによるパフォーマンスを見ている。
ロートレックは世紀の10年間に32点のポスターを制作している。その中の1点がこの「ヴィアン・ジャポネ」。一連のポスターはベルエポックの気分を映しだし、人気の躍り子、歌手を奇妙にデォルメした姿で描かれ、パリ市民の人気を博した。単純化した描線と平塗りの色彩はポスターの特徴でもある。ロートレックのポスターは絵が中心で文字は二次的な役割になっており、近代ポスターを確立した