第19回全国高校生ポスターコンクール審査結果
~ 今、 私が思うこと!伝えたいこと! ~
審査を終えて感じる 「ポスターの魅力」
今年度のテーマ「今、わたしが思うこと、つたえたいこと」が、ひとりひとりの応募者
のなかで広く様々に解釈されたことは審査を行う立場として興味深かった。新型コロナウ
ィルス感染症に関する作品が多かったことは確かだが、LGBT、いじめ、環境問題、思春
期の葛藤、漠然とした不安など、制作者の伝えたいことは一様でなく、このこと自体が
多様なアイデアや表現につながっていたのを感じる。
作品の「独自性」は、一般にテーマ設定と表現手法によって明らかになるところが大
きいが、それは作り手の普段からの問題意識や社会観察によって深くも浅くもなる。
しかしながら、ひとつの傾向として言えることは、上位作品には、これを「前向き」な、
あるいは「ユーモラス」な視覚メッセージへと転換したものが選ばれた、ということで
ある。そこには、悲惨さを訴えるものや危機感を煽るものよりも、見るものの心に暖かく
語りかけてくる魅力があった。
「ポスターの強さ」はそのサイズ感にあり、そこにこそポスターによる情報伝達の根本
的な意義がある。そのスケールでしか伝えることのできない「何か」を追求した作品に、
今後も期待していきたい。 大同大学情報学部講師 桐山岳寛
・U.G.サトー(グラフィックデザイナー)
・堀 冨士夫(日本国際ポスター美術館 館長)
・竹内 治彦(岐阜協立大学 学長)
・山本 譲(大垣市教育長)
・宮川 友子(グラフィックデザイナー、大垣女子短期大学講師)
・桐山 岳寛(インフォメーションデザイナー、大同大学講師)
【作品審査会場風景】